2020年のライブ鑑賞

2020年。COVID-19:コロナウイルスによるパンデミックが世界を襲い、社会生活や日常の楽しみが大きく制限された1年だった。ライブ活動で生計をたてるミュージシャンやライブハウスはその中でも最大の被害者だろう。そして、音楽を楽しむ私たちにとっても悲しくてつまらない一年であった。しかし悲観ばかりしていられない。ミュージシャンやライブハウスも、生き残るためにこの環境で出来ることを必死に模索しているし、我々も音楽から得られる勇気をもらいながら前向きに生きるしかない。非日常であった今年のライブ鑑賞(インターネットでのLive Streaming)について書き残したい。

斉藤和義

斉藤和義は、これまで3回山梨で公演している。2012年にはじめての山梨公演“45 STONESツアー”が我が街にある東京エレクトロン韮崎文化ホールで開催された。2017年には、弾き語りツアー“雨に歌えば”、2018年の“Toys Blood Music,”Toys Blood ツアーだ。タイミングが良いのか、これまで全ての公演を見ることができた。ライブではいつも、山梨学院時代に甲府で過ごしたエピソードや下ネタを楽しみにしている。

そして、今年4月に4回目となる202020ツアーにも参加する予定だったが、コロナ感染の影響が直撃して延期になった。2度の延期後に、2021年の9月に開催が決まっている。この頃にはコロナが収束し、うまく仕事の予定を外して皆勤賞を続けたいと願っている。

結局、ライブには一度も繰り出せない悲しい一年であったが、年末になって斉藤和義というミュージシャンのエッセンスが詰められた素敵な曲『2020 DIARY』が届けられた。

 ‘夜の街やライブハウスが やり玉にあげられる’

 ’もしも総理大臣が半沢直樹だったら 一体何倍返しだろう?’

 ’つらいことの後には、いいことあるはずさ’

 ’いつかマスク外して 君とまた会えたなら’

彼は忌野清志郎が亡くなったあと、清志郎に捧ぐ曲『フェニックス』『雨宿り』を作っているが、この曲を聴いていると、改めて忌野清志郎の精神を受け継いでいることを強く感じた2020年暮れだった。

来年、発売される『55 STONES』を楽しみに待っている。

4月 東京JAZZ

2002年以来、夏の風物詩として定着してきた東京JAZZフェステイバルは5月に開催予定であったが、コロナの影響をもろにうけ中止となった。そのかわり、過去のライブや、オンラインでのコラボレーションの演奏などがオンラインのLive Streamingで無料で配信された。

その中で素晴らしかったのは、上原ひろみ×Joshua Redmanのコラボレーション、それから平原綾香だ。

これを見て、昔1枚だけCDを買ったJoshua Redmanの曲を色々と検索してよく聴いていた2020年だった。

SOIL & ''PIMP'' SESSEIONS

一青窈椎名林檎とのコラボで名前を知っている程度であったが、意識して聞くようになったのは2017年のテレビドラマ『ハロー張りネズミ』でサウンドトラックを担当してからだった。

ハロー張りネズミは高校生の頃ヤンマガで愛読していたから、楽しくドラマを見ることが出来た。そしてSoilのサウンドトラックも素晴らしくて、それ以来このバンドをよく聴くようになった。

インターネットのクレイジーケンバンド 6月/9月

ライブハウスで活動を続けるクレイジーケンバンドも2回の無観客ライブの配信があった。

閉塞的な世界だったから、このバンドのもつエネルギーをもらうことは有り難かった。紅一点の女性ボーカルの菅原愛子さん(このバンドのオリジナリティーとして重要な存在)は子育てで休養中、代打のボーカルが歌ってました。

菊池成孔

菊池なるよしを認識するようになったのはのは2006年に発表されたUAとのアルバム『Cure Jazz』がきっかけだった。それから、甲府市にあるライブスポット桜座で2013年の3月にKofu Jazz Streetでボサノバ・デュオのNaomi & goroと菊池なるよしの公演を生で聴く機会があった。このとき発表していたアルバムcalendulaから曲が披露され、素晴らしかったことを憶えている。

2006年発表『CURE JAZZUA×菊池なるよし

2011年発表『Calendura』nami & goro & 菊池なるよし

この2枚は今でも愛聴して、calenduraはハッピーな気分になるし、cure jazzUAのヴォーカリストとしての才能に惚れ惚れとする。

年明けに配信されるUA×菊池成孔の『Cure Jazz』を楽しみにしている。

黒田卓也

最近のお気に入り。

今年発表されたアルバム『Fly Moon Die Soon』も良かった。

Live stremingの良いところは、リーズナブルな値段で、普段は行けないような公演も自宅で鑑賞できること。また、一定期間のアーカイブ視聴ができるので余裕を持って鑑賞できるところだ。

ただ、ミュージシャンの息づかいやオーディエンスの盛り上がりを実感できる生のライブの臨場感は、ライブスポーツと一緒で得がたい魅力がある。一日も早く、ライブ会場で音楽が楽しめる日に戻ることを願っている。来年は会場での興奮をまた体感したい。