2025年のライブ鑑賞
1月29日
君島大空合奏形態@LINECUBE渋谷 

2024年の10月にTiny desk concerts Japanで君島大空合奏形態を初めて見でライブを観なければと感じ、12月に発表されたシングル"Lover"が合奏形態をバックに録音されており、再度衝撃を受けた。すぐにこの年のライブに参戦できたの幸せだった。笑止の演出、テンポアップ後の怒濤の演奏が凄い。合奏形態の凄さを堪能できた。
「本日は僕のひとつの区切りになる公演になります」。と述べていた。
4月17日
君島大空合奏形態@zepp羽田



3月に新しいEP【音のする部屋】を発表。新曲をフューチャーしたライブでもあった。Zeppというライブ会場は初めてだが羽田は遠かった。最初にワンドリンク飲むのにお金をとるところは商売上手だなーと思った。
2階席の上の方だったが、やはりその演奏は凄かった。
11月14日
斉藤和義 ライブ カモシカとオオカミ
(WOWOW配信)
7月12日、13日に相模原で行われた講演のライブがWOWOWで配信された。【カモシカ】セットと、【オオカミ】セットという異なる2セットでツアーをするというものだった。WOWOWでは2つのセットを丸々放送してくれた。
町田の近くで仕事をしており、7月12日のチケットを持っていたが仕事の関係でいけなくなったのでこの放送が見られたのはラッキーだった。
【カモシカ】無意識と意識のはざまで、やわらかな日などの昔の好きな曲が良かった。
【オオカミ】ブルースハープ、ドラム演奏などミュージシャンとしてのマルチな才能が見られた。
全体として、アルバムを発表してのツアーでないこともあり、過去の懐かしい曲や彼のキャリアのなかでの良い曲がバランス良く聴けて良かった。個人的にはカモシカセットのほうが好みだった。
11月16日
石若駿septet JAZZ NOT ONLY JAZZ (2024年6月21日@NHKホール)

(WOWOW配信)
この二つのライブの映像鑑賞は、今年のハイライトだったといっていい。昨年実施されたものをスペシャルバージョンとしてⅡの公開まえに放送された。堀込泰行や、とにかくこの回のアイナ・ジ・エンドのパフォーマンスに衝撃を受けた。田島貴男の存在感も抜群で、最後に出演者総出の“接吻”も素晴らしかった。
11月17日 https://note.com/elis_ragina/n/n607c82ea5016
石若駿septet JAZZ NOT ONLY JAZZ Ⅱ (2025年9月18日@東京国際フォーラム)
(WOWOW配信)
伝説の一夜の第二章。まず記録しておくのは、アイナ・ジ・エンドだけ二回続けて出場で、作曲者の岡村靖幸との競演が印象に残った。それから、石若駿の同級生枠(本人談)として出演した中村佳穂の歌唱、エネルギーに満ちた演奏が圧巻で、素晴らしかった。そしてこの講演の目玉はロバート・グラスパーとの競演、それから最後の椎名林檎の“長く短い祭り”の共演者総出も良かった。
2026年は、音楽を楽しみ、ライブ会場にもいけるようまずは日常を復帰させていきたい。
2025年のベスト

2025年は仕事のステップアップがあり、生活環境が大きく変わった1年だった。ステップアップのハズが上手くいかず、秋には長い入院も経験した。長い間生きていて底と言える1年だった。そのため、10月までは1年のベストを振り返るココに参加出来ないと考えていた。不本意ながら11月に日々を振り返る時間ができたとき、このような状況にいても好きな音楽だけは聴いていることに気がついた。初心に帰って、シンプルに音楽について2025年を振り返ってみたい。
恒例のSpotify まとめから。


- トップソングは君島大空が堂々4曲ランクイン(全盛期のチェッカーズみたいだな)。1月、4月に君島大空合奏形態のライブに行ったこともあり、予想通りの順位だった。ぷにぷに電機は、好きな女性ボーカリストにランクインさせなければならない。デジタルでシングルを配信しているのに、なぜかアルバムはフィジカルのみ、というのも気になる・・
- トップアルバムも2年前発表の君島のアルバムがランクイン。君島大空に関しては、よく知らなかったころ音源だけ聴いていてもそこまで響かなかったが合奏形態のバンド演奏を見るとその凄さを身に染みて感じている。Loverの重厚なギターサウンドや、花降る時の彼方のライブ映像をみると良くわかる。今年、彼のライブ活動は凄かったと思う。独奏、トリオ、合奏形態と3つの形態で各地のフェスで見ない日はなかったような気がする。グラスパーの新譜は高速道路運転でよく聴いていたことが甦る。それと、石若駿が主催のJazz Not Only Jazz Ⅱ*1に今年スペシャルゲストとしてグラスパーが出演していたのも印象深い。
※Spotifyは聴きたい音源はほぼ網羅されており、CDを購入する機会はめっきり減ったが君島大空EP「音の出る部屋」と、AKIKO YANO TRIO feat. Will Lee & Chris Parkerの限定版のLive at Blue Note TOKYO 2025だけはメディアで購入した。(いずれもSpotifyで配信されている)
2025年のベスト
1アーチスト1曲縛りがルール。一時間に収めたいが、あれもこれも詰め込みたい曲が多く35分もオーバーしたが、許して欲しい。
2025年に新しく響いた音楽について記憶を残す。
羊文学
塩塚モエカの名前を初めて知ったのは、spotifyで君島大空とダブルクレジットの【サーカスナイト】を聞いた時だった。何も知らなかった当時はこの曲のヴォーカルが君島大空と勘違いしていたが、実際は塩塚モエカが歌い、君島がギター演奏で発表されたシングルだった。ある日何気なく見ていたYouTubeで、この事実を知って羊文学というバンドと、塩塚モエカを認識するようになった。今年、新譜を出して、フジロックフェスティバルでも活躍している羊文学に注目している。
ポール・コーニッシュ
コーニッシュさんを初めて知ったのは、2024年にジョシュア・レッドマンのtiny desk concertsでピアニストとして出演したのを見た時だった。同じ年にブルーノート東京のライブで生演奏を聴くことができた。今年、彼のデビューアルバムを偶然聴くことができかなりよかった。ヒューストン出身のピアニストはロバート・グラスパーがいるが、10年後に彼がどんな立ち位置にいるか、楽しみだ。
アイナ・ジ・エンド
初めてアイナジエンドを見たのは2024年3月にThe coversで中島みゆきのカバー”化粧”を歌っていた時だった。その表情にハッとするほど強いインパクトを感じたことを覚えている。それから、UAとのミュージカルでの共演や(何とUAがアレサ・フランクリン、アイナはジャニス・ジョプリン!)、Tiny Desk Concertsへの出演を見て日増しにその存在感は大きくなっていたが、11月にjazz not only jazzの圧巻のパフォーマンス(昨年の第一回のもの)を見て衝撃を受けた。ツイッターでの何気ないつぶやきが驚くほどバズったのも彼女の注目度が高いということだろう。紅白にも出るとか。いつか生でそのライブを観たいと感じた2025年。
ヤバい。アイナ・ジ・エンドが圧巻だった。 https://t.co/HLH3T43k9M
— T-Y (@realfinelove) 2025年11月16日
ぷにぷに電機
ぷにぷに電機の名前を初めて聴いたのは、3-4年前にラジオで菊池成孔が推していたことだった。その時は検索して聴いてみたがそこまで響く曲には当たらなかった。今年1年で、EP【SUGAR同盟】シングル【海を】を聴いて、その楽曲とヴォーカルに魅了されている。
中村佳穂
中村佳穂の名前を知ったのは、UAの2023年のEPで彼女の参加曲があり、ラジオでUAが賛辞を送っていた時だった。その時は彼女がどんな音楽をやっているのか深掘りまではしていない。今年、Jazz Not Only Jazz Ⅱの配信放送で初めて彼女のパフォーマンスを観てその表現力とオリジナリティーに新鮮な感銘を受けた。これから注目していきたい。
堀込泰行
WOWOWで放映された石若駿septetを中心とした初めてのJAZZ NOT ONLY JAZZ*2でトップバッターは堀込さんだった。堀込さんはキリンジの中心で現在はソロで活動しているが、この放送を見るまで全くといっていいほど知識がなかった。1曲目のエイリアンズは何となく知っていたが、ソロになってからのNEW DAYSやSUNDAY IN THE PARKがリラックスした雰囲気でとてもよかった。どこか大貫妙子や山下達郎のポップスに共通した薫りを感じた。
ボズ・スキャッグス
長く愛聴しているボズも80才を過ぎた。晩年になってジャズや、ブルースに回帰した作品を発表しているが今年久しぶりに発表した新譜はジャズスタンダード中心の落ち着いた作品だった。その中で、嬉しいことに唯一のオリジナルで1969年のデビューアルバム*3の中の佳曲『l”ll be long gone 』が取り上げられとおり、これが素晴らしくて気に入っている。
ベスト執筆中にカットインしたニュースによれば来年5月に来日するらしい。
2025年のサヨナラ
- 1月 渡辺薫さん(東スポ馬匠)
長年東京スポーツ(東スポ)の競馬予想で本誌予想を担当した渡辺さん*4が急逝された。物心ついて馬券を買うようになって長いこと東スポを情報源としていたから、渡辺さんの予想は随分と参考にしていたと思う。渡辺さんは76歳だったが1月31日の午後週末のレースの予想記事の執筆など仕事をしており、同日夜急逝されたらしい。男子の一生、願わくば渡辺さんのように最後まで好きな仕事を全うして、苦しまずに旅立てたらイイな、と感じた。渡辺さんと同輩の柏木集保さんとのレース回顧「私たちはこう見た」も愛読していた。残念ながらコラムは終了となったが、柏木さんが現役の限りこれからも彼の解説をチェックしたい。
- 7月 渋谷陽一さん
高校生のころ刊行された新潮文庫のロック・ベスト・アルバム・セレクション*5は、あの当時の音楽探求の手引きだった。そしてNHK FMで渋谷さんが担当していたプログラムで多くの素晴らしい音楽との出会いがあった。ロッキンギグ・オンのベストもたまには見直して見たい。ありがとう、渋谷さん、安らかに。
終わりに
今までに経験したことのない環境の変化や休職を経験した2025年。出口はまだ見えてこないが、これ以上下がらないよう来年は上がっていきたい。この記事を書くことは前向きな作業であることを実感しており、毎年開催されているこの企画に、今年ほどありがたさを感じたことはないかも知れず、主催者に感謝。またいつか、小瀬で応援できる日が来ればいいのだ。最後まで記事に目を通して頂きありがとうございます。皆様にとって幸せな2026年となりますように。
この記事はAdvent calender 2025の25日目の記事として書かれました。
前日は、tomoyayazakiさん、次は来年のAdvent calender 2026(開催未定)です。
*1:次世代を担う若手実力派ミュージシャンと豪華ゲスト陣が織りなす、一夜限りの特別なライブ企画『JAZZ NOT ONLY JAZZ。若き天才、石若駿が率いるThe Shun Ishiwaka Septet(Dr. 石若駿、Gt. 西田修大、Gt. 細井徳太郎、Ba. マーティ・ホロベック、Sax. 松丸契、Tp.山田丈造、P. 渡辺翔太) が再び集結。
*2:「日本で最も多忙なドラマー」と称され音楽業界で注目を集めるジャズドラマーの石若駿が、この日のために実力派バンド「The Shun Ishiwaka Septet」を結成。アイナ・ジ・エンド、上原ひろみ、大橋トリオ、田島貴男(Original Love)、PUNPEE、堀込泰行ら豪華ゲストが加わり、ジャンルも世代も超えたセッションを繰り広げた。
*3:参加ミュージシャンはロジャー・ホーキンス(Ds)、デヴィッド・フッド(B)、バリー・ベケット(Key)、ジミー・ジョンソン(G)等々のマッスル・ショールズ組とデュアン・オールマン(G
*4:85年2月から東スポの本紙予想に就任。その後、四半世紀にわたり重責に恥じない名予想の数々を読者に送り続けた。2010年4月に本紙予想を後任に譲ったものの「馬匠」を襲名し、持ち前の攻めの予想を披露していた。
*5:ジェイムズ・ブラウンの『ライヴ・アット・ジ・アポロ』(1962)からU2の『ヨシュア・トゥリー』(1987)まで、1枚のアルバムを見開き2ページで紹介したこの本には、欄外に参考として挙げられているアルバムも含めると、じつに400枚以上が並んでいます。 当時、ロックのディスク・ガイドでこれだけの名盤群が(短いコメントではなく)キチンと紹介された文庫本はほかにありませんでした。まさに画期的な一冊だったと言えるでしょう。
2024年のライブ鑑賞

2024年は多くの素晴らしいライブを鑑賞する機会に恵まれました。コロナ禍という不毛の時代が終わり、ようやく日常に戻りつつあることを実感しています。そんな2024年を振り返る。
- 3月30日 AJICO/ AJICOの元型 @日比谷公園音楽堂(野音)
- 4月7日 AJICO/ AJICOの元型 @茅野市民館
- 4月17日 Robert Glasper @ビルボード東京
- 4月30日 Monty Alexander インターナショナルジャズデー 配信
- 5月5日 AJICOの元型(野音) U-NEXT
- 5月28日 ジョシュアレッドマン featuring ガブリエルカヴァッサ @ブルーノート
- 6月5日 ジョン・スコフィールド(ジョンスコ師匠) @ブルーノート
- 8月2日 岡村和義 スペースシャワーTV、配信
- 9月3日 矢野顕子トリオ @ブルーノート東京
- 9月18日 マーカス・ミラー(マーカス師匠)@ブルーノート東京
- 10月18日 イマニュエル・ウィルキンス @ブルーノート東京
3月30日 AJICO/ AJICOの元型 @日比谷公園音楽堂(野音)



2024年になって、AJICOのライブに参戦できる日が来るとは夢にも思いませんでした。チケットを発売日にネットで確保しようと挑戦したが、通信が混雑している間に完売してしまい、意気消沈。それでも諦めず『チケジャム』にリクエストを登録してみたところ1ヶ月前になって返信があり、奇跡的にリセールチケットを確保することができました。当日は、ベースのTOKIEさんが「AJICOライブ史上最高の天気」と表現した通り、初春の爽やかな天気に恵まれました。数々の歴史的公演*1が開かれた日比谷公園音楽堂で、AJICOのライブを満喫することができたのは小さな奇跡でした。もう一つ特別だったことは初めて息子とライブを観れたこと。AJICO結成時の2000年にはかけらもなかった彼が、このバンドに興味を持って楽しんでくれている姿に不思議な感覚と感動を覚えた。心地よい夜風の中で素敵なライブ鑑賞ができたことは鮮やかな記憶として残るでしょう。
4月7日 AJICO/ AJICOの元型 @茅野市民館



茅野は仕事で時に訪れる街で、この小さな地方都市での開催に感謝。茅野市民館は、茅野駅に直結しており中央本線沿いに住む身として抜群のアクセスの会場でした。ここでも小さな奇跡が起こります。ライブの終盤、UAが歌いながら通路を練り歩くパフォーマンス。幸運にも通路沿いの端の席だったため、目前30cmの距離でUAを見ることができました。パワフルな歌声からは想像できない小顔で華奢な姿に、ますます彼女に惹かれた瞬間でした。二週続けて同じミュージシャンのライブに参戦するのは、おそらく最初で最後でしょう。
4月17日 Robert Glasper @ビルボード東京

グラスパーは何回目でしょうか。最近はBurniss TravisⅡ (Ba.)、Justin Tyson (Dr.)、DJ Jahi Sundance (DJ)のメンバーでの公演が多くヒップホップ寄りの構成でした。個人的にはシームレスな演奏の中に“Stella by starlight”のソロが入ったところが聞き所でした。そろそろ、アコースティック・トリオの公演も観たいと願っています。
4月30日 Monty Alexander インターナショナルジャズデー 配信

インターナショナルジャズデー、今年はモンティー・アレキサンダーさん。(知りませんでした!)ありがたく無料生配信を拝聴しました。勉強したことによれば、モンティーさんはジャマイカ生まれのジャズ・ピアニスト。1976年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの録音『モントゥルー・アレキサンダー・ライヴ』が最も著名な演奏のようです。
5月5日 AJICOの元型(野音) U-NEXT

U-NEXTで3月30日の日比谷公園音楽堂でのライブが独占配信されており、一月だけ課金して配信ライブを観ました。アーカイブでいつでも観ることができるようです。配信をじっくり観て、個人的には改めて初期の曲『波動』や『毛布もいらない』の素晴らしさを再確認しました。
5月28日 ジョシュアレッドマン featuring ガブリエルカヴァッサ @ブルーノート



2月にTiny desk concertsで観たライブ映像と、若き天才ガブリエル・カヴァッサ*2をフィーチャーした新譜が素晴らしく、期待を胸に観に行きました。ライブは新譜『Where Are We』から構成されており、レッドマンの演奏とカヴァッサの物憂げなボーカルのハーモニーが圧巻で、期待を裏切らない熱演。アンコールでは、カヴァッサが日本語で歌った『赤とんぼ』や、レッドマンの白熱したサックスが響く『The Tokyo Blues』が披露され、素晴らしいパフォーマンスでした。終演時には会場が総立ちのスタンディングオベーション。これまで多くのライブを観てきましたが、内容も観客の反応も過去最高とも言える感動を味わいました。今年のベストライブ。
6月5日 ジョン・スコフィールド(ジョンスコ師匠) @ブルーノート




ジャズ・ギターの巨匠の一人、ジョン・スコフィールド・トリオを初めて観ることができました。ベースは、グラスパーのアコースティック・トリオの一員、ヴィンセント・アーチャー。ジョン・スコフィールドのすぐ目前の特等席があたり、ジョンスコ節をタップリ堪能することができました。これからはジョンスコ師匠と呼ばせてもらいます。
8月2日 岡村和義 スペースシャワーTV、配信


2024年、斉藤和義と岡村靖幸は意気投合して『岡村和義』を結成。立て続けにシングルを発売し、ライブツアーも敢行。このライブを配信で鑑賞しました。二人の新曲も良いが、斉藤がソロで演奏した岡村のオリジナル『イケナイコトカイ』が絶品で、今年の個人的なベストパフォーマンスの一つ。NHKのSONGSに出演した際の二人のブレイク前のエピソードもほっこりさせられて良かった。
9月3日 矢野顕子トリオ @ブルーノート東京




毎年恒例の矢野顕子トリオのライブに、久しぶりに参戦しました。ウィル・リーはボーカリストとしてボビー・コールドウェルの「What You Won’t Do for Love」を披露。そして、今年のハイライトは坂本龍一さんの『千のナイフ』*3。クリス・パーカーの白熱したドラミングが圧巻でした。このトリオの幅広いレパートリーと懐の深さ、テクニックに、改めて感嘆するばかりでした。
9月18日 マーカス・ミラー(マーカス師匠)@ブルーノート東京




マーカス・ミラーもコロナ禍を挟んで久しぶりの来日。安定のゴリゴリしたベースプレイを聴かせてくれましたが、80年代のサンボーンの名盤『Straight to the heart』から2曲(Love & Happiness, Run for cover)を演奏してくれました。師匠、ありがとう。
10月18日 イマニュエル・ウィルキンス @ブルーノート東京


新世代を代表するアルト・サックス奏者、イマニュエル・ウィルキンス。新譜『ブルース・ブラッド』を発表し初めてのリーダー公演だったようです。
Blue Note Tokyoに通い続けた特典で、7回目の来場時に無料招待を受けることができ、彼の公演を選びました。サンボーンさんのなくなった年に新進気鋭のサックス奏者に邂逅できたことは幸運でした。弱冠27歳、10年後には間違いなくビッグ・ネームになっているでしょう。
こうして振り返ってみると、タイミングにも恵まれ、普段敬愛しているミュージシャンのライブを一通り観ることができた幸せな1年でした。2024年の鮮やかな記憶。来年も素敵な音楽と出会えますように。
*1:1960年代フォーク・ゲリラ、1978年サザン・オールスターズのデビュー後、1980年代THE ALFEE, RCサクセション、2000年代UAらのライブは伝説的イベントとして語り継がれている
*2:2019年サラ・ヴォーン国際ジャズ・ヴォーカル・コンクール優勝
*3:YMO結成前に制作されたデビュー・アルバムのタイトルトラック。坂本のヴォコーダー(KORG VC-10)による毛沢東の詩(1965年に毛沢東が井崗山を訪問したときに作成した「水調歌頭 重上井岡山」)の朗読で幕を開け、印象的な響きの和音が平行移動するイントロへとつながる。イントロ後の速いパッセージ部分のメロディーの音色は大正琴のシミュレート。坂本はレゲエや賛美歌、ハービー・ハンコックの「Speak Like A Child」にインスパイアされたと発言している。
2024年のベスト

2024年の夏のある日、部屋の整理をしていたら雑誌『ロッキング・オン』のバックナンバーが出てきた。毎年年末にロッキング・オンが選ぶ『アルバム・オブ・ザ・イヤー』と題する特集をしていて、長年この特集号を欠かさず購入していたのだった。手元に残る一番古いのは2002年そして直近の特集号は2017年のものだった。インターネットの時代になり、容易にベスト盤の情報にアクセスすることが可能になったせいかいつしかこの特集号を買わなくなっていた。奇しくもこのアドベントカレンダーに参加するようになったのも2017年だった。筆無精の自分が8年も続けて来れたのは、その年の良かったことを追憶することはとても有意義であるし、他人が選ぶベストも興味ぶかいのだが、自由に『アルバム・オブ・ザ・イヤー』を選ぶほうがもっと楽しいことに気がついたから。2024年に体験した『Greatest of All Time』を振り返る。
音楽のこと


今年の個人的な音楽シーンのハイライトは3つある。
1. AJICO再始動
2. ジョシュア・レッドマン featuring ガブリエル・カヴァッサ
3. 君島大空合奏形態
1:2021年に20年ぶりに再始動したAJICOの復帰2作目の新譜EP『ラヴの元型』が3月に発売された。2021年の再結成時のライブはコロナ禍の厳しい制限のため参戦は叶わなかった。熱心なファンとして、新譜発売のニュースだけでテンションが上がったが、今年は規模を拡大したツアーが開催され、奇跡的に3月末の日比谷公園大音楽堂でのチケットを入手することができ、念願のAJICOのライブも体験できた。長年の夢が叶った瞬間であり、2024年最高の体験の一つだった。新譜については、別のページにもレビューしたが円熟の歌唱&演奏で熱心に聴いた。
ラヴの元型 | AJICO https://scrapbox.io/cd/%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%81%AE%E5%85%83%E5%9E%8B_%7C_AJICO
2:2月にyoutubeを見ていたらNPR tiny desk concertsにジョシュア・レッドマンが出演しており、その冒頭曲“Chicago blues”が凄く印象的だった。すぐに新譜『where are we』(実際の発表は2023年9月)を発見した。ブルーノート移籍第1作目で、13曲中9曲にガブリエル・カヴァッサさんという女性歌手がfeatureされており、レッドマンのテナーサックスとカヴァッサのヴォーカルのハーモニーがとても素晴らしい作品だった。この新譜を聴き始めてまもなく来日公演の情報を知り、5月にライブにも参加できた。ライブについては後に語りたい。
3:君島大空は昨年発表の2枚のアルバムが良くて日常的に聞いていたが、10月にNHKで始まったTiny desk concert japanに君島大空合奏形態として出演したのを見て衝撃を受けた。まず動いている君島大空を見たのが初めてだったし、合奏形態のメンバー*1の演奏が各々素晴らしかった。売れっ子ドラマーの石若駿が参加していたことにも驚いたし、その演奏が特に印象的だった。
そして合奏形態をバックに12月に発表された新曲"Lover"は君島大空の儚げな歌唱にバンドのノイジーで重厚なギターサウンドが畳みかけるように重なる心に響くバラッドだった。このメンバーで活動している間に、ライブを観にいきたいと強く感じた。
www3.nhk.or.jp
年末に発表されるSpotifyのまとめは、意外な展開もなく、ほぼ納得のいく結果だった。ただ驚いたのは、今年もヴァン・モリソンがランクインしていたこと。御大は79歳で、隠居していてもおかしくない年齢だが、驚くほど多作で、今年だけでもライブアルバム、セルフカバー&デュエット、インストゥルメンタルと3枚の新作を発表している。その中でも『New Arrangement and Duets』というアルバムに収録された、1987年発表のオリジナルバラード”Someone Like You”をジョス・ストーンとデュエットしたバージョンは絶品で、繰り返し聴いていた。
ランキングには入らなかったものの、パティ・スミスのライブアルバム『Live in Oregon 1978』やパール・ジャムの新譜『Dark Matter』も印象的だった。前者は、当時のエネルギーが凝縮された音源で、衝撃を受けた。


2024年は、さらに音楽鑑賞がサブスクリプションにシフトし、購入したCDはAJICOの『ラヴの元型』と、ジョシュア・レッドマンの『Where Are We』の2枚のみだった。レッドマンの新譜も当初サブスクで聴きまくっていたが(Spotifyまとめによれば、ジョシュア・レッドマンを聴いていた時間は世界のリスナーの上位0.05%、トップソングの再生は上位0.005%らしい。もしかして世界一のリスナーかよ?やったね。)、5月に参戦したライブがあまりにも素晴らしく、この名盤を手元に置いておきたくなって翌日に限定ジャケット版を購入して机に飾ってある。
そんなワケで、2024年のアルバム・オブ・ザ・イヤーは満場一致で『where are we / Joshua Redman featuring Gabrielle Cavassa』でした。
街のサッカーチームのこと

2022年、街のサッカーチーム(ヴァンフォーレ甲府)はJ2リーグの下位から前代未聞の天皇杯優勝を達成した。
2023年、天皇杯王者としてACL(アジアチャンピオンズリーグ)に出場し、二部リーグのチームとして史上初めてグループステージを1位で突破し、決勝トーナメント進出を果たした。
2024年には、チーム史上初の韓国のトップチーム・蔚山との決勝トーナメント戦に臨んだ。この歴史的な挑戦に立ち会えた記憶を、ここに残しておく。
2月15日、蔚山とのアウェイ戦で0-3の敗戦。
甲府は期待の新外国人、アダイウトンとファビアン・ゴンザレスを先発に起用したが、左サイドを崩されて簡単に先制点を献上。その後も相手FW陣の個人技に対応できず、0-3の完敗を喫した。Kリーグの情報など気にしたこともなかったが、蔚山のクラブの実績*2や敵地のスタジアム*3を振り返って見ると、格の違いを痛感させられた試合だった。
2月21日 ホーム国立 88分に三平がゴールを決めるも1-2で惜敗。


試合が火曜日か水曜日になるかは時の運だったが、運良く出張日に重なったため遠く離れた国立競技場での観戦が叶った。試合は、またしても左サイドのクロスから先制点を許す展開に。終了間際の88分、左からのCKを三平がヘディングで合わせて同点に追いつく。彼のヘディング技術の高さには以前から注目していたが、世界の舞台でもその実力を証明した。しかし、終了間際に再び左サイドを崩され、あっけなく失点。結局、1-2で敗戦となった。二試合を通じて、アジアトップレベルとの実力差を痛感させられた。


悔しい敗戦では、誰もが下を向いて帰路を急ぐ。しかし、この日の国立競技場から駅へ向かうサポーターたちは、皆どこかやりきったような充実感を漂わせていた。自分も同じ気持ちだった。ちっぽけな街のサッカーチームが世界のピッチに殴り込んで、決勝トーナメントで予算規模に何倍もの差があるアジアのトップチームに果敢に挑んだ。そして、国立競技場にまで連れてきてくれた。感謝しかなかった。負け試合の帰り道でこんな満たされた気持ちを味わったのは初めてだった。
今シーズンのリーグ戦は、監督の途中交代や10試合未勝利という苦しい状況が続いた。こんなことを書くとゴール裏の熱心なサポーターに囲まれるかもしれないが、長いシーズンを振り返れば、ACL決勝トーナメントに進むという奇跡のような成果を見せてくれたチームがリーグ戦で苦戦するのは想定内だったと思う。イイことがあった後には、苦しいこともやって来るのは世の常なのだ。予算が限られたちっぽけな街のチームにとって来年も財布と相談しながらの選手編成が続くことだろうし、戦国J2のなかで厳しい戦いが待ち受けるだろう。それでも、何事もなかったかのようにホーム小瀬に出陣してその挑戦を見届けたい。いつかまた思いがけない幸運が巡ってくることを信じて。
今年、サッカー観戦にまつわる小さな奇跡が二つあった。
一つは、8月21日の天皇杯鹿島戦。リーグ戦とは異なり、ランダムで決まるメインスタンドの指定席チケットを購入して参戦したところ、アドベントカレンダー主催者であるtaizoooさんのすぐ後ろの席だった。偶然にも直接挨拶する機会を得られたのは、思いがけない幸運だった。
もう一つは、ひょんなことから長年ヴァンフォーレ甲府を担当しているフリーライターのM・Jさんと知り合えたことだ。近くで活動している人ならではのチーム事情を聞けたのはとても楽しかったし、これからも良い記事を書いてもらうようお願いしておいた。
読書
多くの本は読めなかったが、いくつか印象に残る読書体験があった。
2021年9月に単行本が刊行され話題になって以降、心の積読山脈に積んであった『嫌われた監督 〜落合博満は中日をどう変えたのか』(鈴木忠平)を、Kindle Unlimitedで配信されているのを発見し、3月についに読了することができた。ドラゴンズの番記者だった著者が、落合監督が率いたチームの光と影を多数の選手、関係者目線で記録した渾身のルポルタージュで、その濃密な内容に引き込まれた。
今年新たに出会った作家の一人が、河﨑秋子さん。ナツイチで読んだ『土に贖う』は、北海道の自然や産業を背景に人間の営みが描かれた独特の世界観が印象に残った。
新しいイベントは、『読書メーター』というアプリを使い始めたこと。大変な読書家であり、長年の馬友達でもある先輩に『嫌われた監督』を勧めたら、しばらくして「非常に面白かった、感想を読書メーターに投稿した」と返信をもらったのがきっかけだった。読んだ本や積読本を登録できるだけでなく、他の読者の感想を読んだり、感想に「いいね」がついたりSNSの一種でもあるが、有象無象な情報が溢れるそのへんのSNSとは一線を画す有意義なツールだと感じている。これから地道に本を登録していこう(心の積読山脈にもね)。
今日の宏斗
低迷するチームとは対照的に、ドラゴンズの若きエース・高橋宏斗にとって、飛躍の一年だった。今シーズン#今日の宏斗というハッシュタグでその日の投球内容と寸評を記録するようにした。長いこと不慣れなSNSに関わっていて、初めて有意義なハッシュタグを作れたなと、一人悦に入っている。
11奪三振の快投で🐲連敗を止める。その右腕でチームを浮上させておくれ。#今日の宏斗
— T-Y (@realfinelove) May 5, 2024
昨年まで6連敗していた日ハム相手に7回7奪三振完封の快投で3勝目。もう目が離せない、離さない。#今日の宏斗
— T-Y (@realfinelove) June 11, 2024
首位ジャイアンツ相手に8回12奪三振無四球の快投で7勝目。連敗も止める。26イニング無失点。神が使わした救世主に違いない。#今日の宏斗
— T-Y (@realfinelove) July 19, 2024
最下位で迎えたスワローズとの裏天王山、7回9奪三振完封の快投で8勝目。またまた連敗止める。メダルラッシュに沸く今日この頃ですが、宏斗にもとびきりの🥇をあげたい。#今日の宏斗
— T-Y (@realfinelove) July 30, 2024
最優秀防御率投手賞を受賞した。メジャーのヤツらに青田刈りされないかとても心配。#今日の宏斗
— T-Y (@realfinelove) November 26, 2024
今季特に印象に残ったのは、貧打にあえぐチームの連敗を止めまくっていたことだ。もしかしたら宏斗を際立たせるためにわざと連敗しているのか?と思ったほどだ。今季の最終成績は、12勝4敗のキャリアハイ、防御率1.38で弱冠22歳で最優秀防御率賞を獲得した。来シーズンは、東での仕事が増えそうなので球場で宏斗のピッチングを生で見ておきたい。メジャーのヤツらが虎視眈々と狙っているし、日本で小さく収まる器でないことも分かっている。世界に羽ばたく前にその勇姿を脳裏に焼き付けておくのだ。(ほぼ父親目線)
2024年のサヨナラ
5月、ジャズ・フュージョン界で活躍したアルト・サックス奏者、デイヴィッド・サンボーンさんが78歳で亡くなった。長い間彼の演奏を愛聴してその音楽に育まれてきたので、その記憶を辿りたい。
高校生の頃、初めてサンボーンの音楽に触れたのは友人から借りたカセットテープ『Straight to the Heart』と当時の新譜『A Change of Heart』だった。それまで聴いていたロックや日本のポップスとは異なり、フュージョンという未知のジャンルでありながら、R&Bやブルースをベースにした彼の曲はどこか親しみやすく、すぐに心をつかまれた。後に知ったことだが、少年時代のサンボーンはレイ・チャールズのバンドでアルトサックスを吹いていたハンク・クロフォードに深く感銘を受けたという。そして、初めて加入したバンドがサンフランシスコを拠点とする白人ブルースバンド、ポール・バターフィールド・ブルースバンドだったことを思えば、彼の音楽にR&Bやブルースの影響が色濃く表れているのも当然のことだった。
それ以来、発表される新譜は欠かさず手に入れて聴き続けてきた。特に1992年の『Up Front』は、サンボーンの音楽活動に欠かせない存在であるマーカス・ミラーの存在をはっきりと認識するきっかけとなったアルバムで、印象深い一枚だ。
1995年には、山中湖ジャズ・フェスティバルに出演した。山中湖は学生時代によく訪れていた場所で、そこでジャズ・フェスティバルが開かれることは望外の喜びだった。今振り返ると、ハービー・ハンコックやロン・カーターといったジャズの巨星たちが出演する中で、サンボーンの出番が大トリだったことは、日本でのサンボーンの絶大な人気を物語っている。
2008年『Here & gone』、2010年『Only Everything』はレイ・チャールズやハンク・クロフォードに捧げた曲もあり聞き所がある。2015年に発表された『Time and the River』は、久しぶりにマーカス・ミラーがプロデュースを手がけており、アルバムジャケットには漢字で「川」と記された奇抜なジャケットが印象的だった。2017年には、22年ぶりに東京で彼の演奏を観ることができた。
2017年のライブ鑑賞 - realfineloveのブログ
そして今年9月、マーカス・ミラーのライブを観る機会に恵まれた。その中で、80年代のマーカスプロデュースの名盤『Straight to the Heart』から「Love & Happiness」や「Run for Cover」を演奏してくれた。特に何も語っていなかったが、きっとサンボーン先輩への追悼の意も込められていたのだろう。
サンボーンの個人的なベストアルバムを挙げておく。
『Straight to the Heart』:唯一のライブ盤で、彼の魅力が凝縮されている名盤。
『Up Front』:マーカス・ミラープロデュースのファンキーな名盤。
『Only Everything』 原点であるハンク・クロフォードやレイ・チャールズに捧げた作品。「Hard Times」は特にお気に入り。
最後に、命日である5月にSpotifyで作成した追悼プレイリストを捧げる。サンボーンさんの演奏が永遠に響き続けますように。
・西田敏行さん. 10月
国民的俳優だった。一番古い記憶は、幼少期に見た西遊記の猪八戒。最近では、再放送されている『坂の上の雲』で主人公の一人・秋山真之の英語の先生でもあった高橋是清*4を元気に演じている。訃報を聞いて、大好きな映画『ザ・マジックアワー』を見直した。今は動画配信全盛の時代、多くの映画やドラマでいつだって元気な西田さんに会える。その演技、永遠に。
・火野正平さん 11月
今年、鬼平犯科帳のドラマが新キャスト(長谷川平蔵は松本幸四郎さん)で始まった。火野さんは、鬼平を助ける密偵“相模の彦十”*5を演じ欠かせない存在感を示していた。火野正平という芸名も池波正太郎先生が名付け親だったことを知り、まさに文字通りのはまり役だったのだ。次に相模の彦十を演じるのは誰になるのは知らんけど、火野さんのいない鬼平犯科帳、どこか物足りなさを感じてしまうだろう。5月に映画化された『血闘』、放送されたらもう一回見たい。
・ワイヤレスイヤホン(ソニー)
1年以上前に、アップルのair pods proの左側を落とし、コロコロと転がって格子つきの側溝に落ちてしまい回収不能になった。そこで気分を変えてソニーのBluetoothイヤホンを購入した。6月出張の時にカバンにケースごとつけていたが、新幹線で使おうとして開けてみると右側が無くなっていた。人混みに紛れてケースから落ちてしまったようだった。わずか3ヶ月の命だった。残された片ちんばのイヤホンたちを眺めてしばらく呆然とした。そうか、右にair podで左はsonyを使えばいけるじゃん!と閃いた。・・・試してみたがダメだった。『ワイヤレスイヤホンはなくすので高いのは買っちゃダメ!』、2024年に学んだ教訓です。
おわりに
2024年は大谷サンが大活躍し、ドジャース移籍1年目でワールドシリーズを制覇するという大きな盛り上がりがありました。この年末、25日間にわたる熱戦が繰り広げられたもう一つのワールドシリーズ、「#2024AC2024」もニューカマーの登場もあって大いに盛り上がりましたが、今日はその最終日です。このバトンは謹んで主催者のtaizoooさんにお返ししてゴールインとなります。
最後まで拙い記事に目を通していただいた皆様に感謝申し上げます。そして、2025年が皆様にとって素晴らしい一年でありますように。
・この記事は、Advent calender 2024の第25日目の記事として書かれました。
・前日はtomoyayazakiさん、次はたぶん来年のAdvent Calender 2025(開催未定)です。
*1:西田修大(Gt)、新井和輝(Ba)、石若駿(Dr)
*2:2022年Kリーグ優勝、2012年・2020年ACL制覇
*3:Ulsan Munsu Football Stadium:収容人数44,000人を誇り、2002年ワールドカップの会場にもなった
*4:立憲政友会第4代総裁。第20代内閣総理大臣(在任: 1921年〈大正10年〉11月13日 - 1922年〈大正11年〉6月12日)日露戦争の戦費調達のための外債募集を成功させたことで、近代日本を代表する財政家として知られる
*5:平蔵より10歳ほど年上の老人で、無頼時代の取り巻きの一人。平蔵と二人だけの時は「彦」・「銕っつぁん」と呼び合う程の昔なじみ。元は流ればたらきの盗人。それなりに顔が広く、聞き込みには欠かせない存在。
2023年のライブ鑑賞
2023年はCOVID-19がフツーの風邪になって、大手を振ってライブ会場に足を運ぶことができるようになった。待ち望んでいましたよ。
そんな今年一年のライブ鑑賞を振り返る。
1月3日 Robert Glasper Trio (Live Streaming)


グラスパーご一行は、年末年始ガッツリ稼ぎにやってきた。元旦を挟んで12月30日から1月7日まで8日間も。思わず『ユーは何しにニッポンへ?』と独りでツッコミをいれてみたが、人気ミュージシャンだもの、稼いで何が悪い、来てくれてありがとう〜。現地で観に行きたい気持ちもあったが1月3日のセカンドセットの配信をしてくれたので自宅のPCで鑑賞した。グラスパートリオは、ベース:ヴィンセンテ・アーチャーとドラム:ダミアン・リードのアコースティック・トリオ(2007年 In My Element、2009年Double Booked、2015年Covered)が一番好きなんだけど、最近このメンバーよりもDJのジャヒ・サンダースを加えたR&B/ヒップ・ホップよりのメンバーで活動していることが多い印象。ライブには何度か足を運んでいて、毎回うならされる程のクオリティで満足なんだけど、そろそろアコースティック・トリオが観たいな、と思う今日この頃です。配信で見るとこの日の演奏はあまり記憶に残っていません。2024年の来日公演できる限り出陣するのを楽しみにしています。
4月15日 エリック・クラプトン(日本武道館)


コロナでしばらく海外ミュージシャンの来日が滞っていましたが、今年ようやく動きが戻ってきました。クラプトンも4年ぶりの来日。個人的には実に28年ぶりにクラプトンのライブを現地で観ることができました。今回のツアーで日本での100回目の記念公演となるようですが、僕が参加したのは初日の97回目の公演です。クラプトンぐらいキャリアが長いと皆思い思いの好きな曲があると思う。この日の客の反応が上がっていたのはやはり『Layla』や、『Wonderful Tonight』でしたが、個人的にはブルースパートのギターが聞き所でした。
4月30日 'International Jazz Day' 黒田卓也 featuring 藤原さくら&井上銘(Live Streaming)

今年もGWのこの日にBlue Note Tokyoでの黒田卓也さんのライブを無料配信しており、有り難く拝聴しました。ゲストには売り出し中の女性シンガー、藤原さくらや、ギタリストの井上銘が出演。藤原さんのパートで演奏されたジャクソン5の"Never can say goodbye"がとても良かった。藤原さんの独特の低音のハスキーボイスなかなか味があって良いです。
5月21日 斉藤和義(YCC県民文化ホール)

新譜Pineappleをひっさげてやってきてくれました。なぜか、山梨公演は休日、祝日に組まれているので、今年も参加で皆勤賞を継続できました。斉藤和義のライブの魅力は下ネタ織り交ぜたゆるいMCとハイクオリティの演奏のギャップが凄いところ。この日もロックンロールパートの疾走感もさることながら、弾き語りバラッド”泣いてたまるか”は素晴らしく印象に残りました。
8月22日 J-Squad (ビルボードライブ東京)


J-Squadは、トランペッターの黒田卓也さんを筆頭に国際的に活躍するミュージシャンで結成されたバンドだが5年ぶりに活動を再開、ちょうど夏休みを取れたので観に行けた。サックスの馬場智章さんは今年映画Blue Giantで主人公の演奏するサックスを担当し認知度が高まっておりこのライブでもその活躍を紹介されていました。これまでに発表している2枚のアルバムからの曲のほか、新曲も披露していたので新しいアルバムも楽しみです。
10月18日 UA (ビルボードライブ東京)



UAのヴォーカル、パフォーマンスが好き。デビューの頃から注目されていたシンガーだったが、2000年のAJICO、2006年のCure Jazzを聴いてからそのヴォーカルの表現力に魅了されるようになった。発売と同時にネットで申し込んだが、一瞬で正面の良い席は埋まっており、なんとかステージの脇の席が取れた。この日のUAは素晴らしく声がでており、鳥肌が立つほどソウルフルな歌唱だった。特に良かったのは、『Harlem Blues』、そしてアンコールでの『微熱』のアコースティックバージョン。隣に座ったUAのライブに通い詰めている女性(多分同年代)の方と話したが、やはりこの日のパフォーマンスが優れていたことが確認できた。20年以上愛聴しているUAを生で観たのは初めてだったので感激した。そして彼女のベスト・パフォーマンスのライブが聴けたのは、今年最高の体験だった。UA、また観に行きたい。
フジロック (フジテレビOne録画)



コロナ禍で、毎年無料で配信をしてくれていたフジロックですが、今年は配信がストップし、そのかわり9/29-10/1に有料チャンネルで完全版が放送された。ラインアップの中で『The Strokes』と『アラニス・モリセット』は観てみたいと思ったので、1ヶ月だけスカパーの番組に加入して録画した。まだゆっくりと見れていない。The Strokes、好きなんだけどやはり生で観たいなと思った。
コロナの3年間は我慢の日々でしたが、今年は4回会場に足を運ぶことができた。UAを生で鑑賞できたことは幸せだったし、改めてライブ会場で見ると鮮やかな記憶として残ることが実感できた。来年も素敵な音楽と出会って、ライブで鑑賞できますように。
2023年のベスト

2023年は、COVID-19がフツーの風邪になって、3年間制限されていた日常が正常に向けて動き出した一年だった。
コロナと闘った
2月にCOVID-19に感染した。ワクチンを5回も打たれていたのにも関わらず感染したし、同僚にもお裾分けしてしまった。感染後に家族に移さないようにホテル療養を選んだ。感染してはじめて国や県の施策で整備されたホテル療養のシステムはとても有り難いと感じた。
この3年間感染症のあおりで生活に困窮した人々のことや、亡くなった国民的コメディアンのことなどを思うとウイルスに対して憎しみを抱いていたが、実際に感染してみるとどうやっても抗えない運命なのだと感じるようになった。未知の感染症との闘いは人類の歴史でもある。大袈裟かもしれないが、ウイルスと闘って生き延びた以上、やりたいことができなくなった人達の分もたくましく生きていかなければならないと思っている。ウイルスとの闘いを経験して憎悪の気持ちはほとんど無くなったが、一つだけ恨みを述べるならアイツのせいで楽しみにしていたサッカーチームのホーム開幕戦に出陣できなかった(自粛した)ことだ。
音楽のこと
時代の流れか、今年は音楽を聴く媒体がサブスク/メディア(CD)の割合が体感で9:1ぐらいになった。
年末に発表される恒例のSpotifyベスト。今年はトップアーチスト、トップソングともNo1は上原ひろみだった。


2月にBLUE GIANTというアニメ映画が公開された。ビッグコミックに2013年に掲載されたジャズに魅せられた青年宮本大の成長を描いた漫画が原作だが、これについては全く読んだことも無く知識も無かった。映画の告知をみると、上原ひろみが作品全体の音楽を担当し、サックスはJ-SQUADのメンバーでライブを観たこともある馬場智章さんが担当しているとあり、楽しみにして映画館で鑑賞することにした。
劇中でサックス奏者の主人公が結成するバンドJASSのピアノ、サックス、ドラムは上原ひろみ、馬場智章、石若駿のプロミュージシャンが演奏し、ハイクオリティだったし、バンドが目標に向かって挑戦するストーリーも楽しめた。この映画のサウンドトラックを良く聴いていたという一年だった。振り返ってみると、アニメ映画を楽しみにして映画館に向かったことは記憶にないし、今年観た映画の中では一番印象に残るものだった。
今年購入したCDは4枚だった。
- PINEAPPLE / 斎藤和義
- 24ナイツ(オーケストラ・ロック・ブルース)/ Eric Clapton
- Hackney Diamonds / The Rolling Stones
- Harlem Blues / Phineas Newborn Jr.
ベストをあげるなら18年ぶりに発表されたストーンズのHackney Diamonds。今更ストーンズ?と思うかもしれないが、一聴してミック・ジャガーのヴォーカルが80のジジイとは思えない艶があることに驚愕した。先行シングル『Angry』のPVも過去のライブシーンやアルバムジャケットが登場してストーンズ・フリークのツボをつく出来だったのでベストPVに選びたい。
クラプトン回顧録
年始にエリック・クラプトンが4年ぶりに来日するという情報を見た。1月には高橋幸宏さんやジェフ・ベックの訃報を聞いたばかりだし、年齢的にもこれが最後の来日になるかも知れないと感じた。何とか都合を合わせて出陣することにした。そしてこの機会にクラプトンの回顧録を残しておこうと思った。
高校生のころ、NHK-FMで渋谷陽一さんがパーソナリティで放送していたお正月の特番でエリック・クラプトン特集をエアチェックして聴いた。この放送の一曲目は『いとしのレイラ』で、デュアン・オールマンの強烈なギターのイントロから始まり、印象的なアウトロに繋がる名曲に引き込まれた。そしてこの特集でクラプトンの代表曲を知ったのが原体験だった。それから、当時新潮文庫から出ていたロック名盤のディスクガイドでCreamを知り、若きクラプトンやブルース・ハープも名手のジャック・ブルース、ドラムのジンジャー・ベイカーが奏でるインプロヴィゼーションは刺激的で新しい音楽と邂逅した高揚感と鮮烈な記憶が残っている。
当時はインターネットがなかったので、ディスクガイドや、ライナーノーツで背景や関連するミュージシャンの知識を取り入れ守備備囲を拡げていったが、クラプトンのバックグラウンドにはブルースへの憧憬が色濃く存在しており、聞きこんでいくうちに自然にブルースという音楽に魅力を感じるようになっていた。
仕事に就く前に3度ライブを観に行った。押し入れから公演プログラムを引っ張り出して眺めながら振り返ってみる。
- 1991年12月 東京ドーム 『ジョージ・ハリスン with エリッククラプトン and his band

この年、ジョージ・ハリスンのサポートという形で来日した。演奏については、ビートルズのWhile my guitar gently weepsを演奏していたことぐらいしか記憶がない。ジョージ・ハリスンは10年後の2001年に癌のため58歳の若さでなくなった。’ビートルズ’を生で観たのは最初で最後だったという意味でも、2人の伝説的な日本公演を観に行けたことは幸せなことだった。
- 1993年10月 日本武道館

1990年代のミュージックシーンで流行し、クラプトンのアルバムも大ヒットしていた『Unplagged』の次の年のライブ。バックバンドのドラマーに敬愛するlittle featのメンバー、リッチー・ヘイワードが参加していたのを改めて発見して嬉しくなった。Unplaggedの翌年だから、アコースティックパートを多めに演奏し、『いとしのレイラ』もアコースティックにアレンジされており賛否両論だったことを記憶している。
- 1995年10月 日本武道館

この年の公演プログラムを見ると、クラプトンは短髪になって長渕剛みたいになっている。1994年にブルースに回帰したアルバム『フロム・ザ・クレイドル』を発表していたから、このアルバムからトラディショナル・ブルースナンバーを演奏していたようだ。シブすぎてライブの内容は全く記憶にない。
- 2023年4月 日本武道館

今年のライブ参戦は実に28年ぶりだった。なんでも今回の来日で100回目の記念公演となるようで、自分が参戦したのは初日となる97回目の公演だった。
この日のオープニングは聴いたことのないインストゥルメンタルだった。後でわかったことだが『Blue Rainbow』という、年始に亡くなったジェフ・ベックの追悼曲だった。4回目になるライブではさすがに新鮮さは感じなかったが、個人的にはブルースの古典『Key to the highway』やマディーウォーターズの『Hoochie Coochie Man』での熟練のギター・プレイがハイライトだった。
クラプトンが来日した春、サザンの桑田さんのFM番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』で来日記念でクラプトン特集を放送していたのを聴いた。若い頃からクラプトンのファンで、初めて来日した1974年にステージを観に行った時の貴重な話をしていたが、この頃はアルコール依存から抜け出して間もない頃で、『ガラクタ人形みたいだった』と語っていた。嬉しかったのは、好きなアルバム『EC was here 』(1975)が桑田さんと共通していたことだ。70年代のライブ盤だがここで聴けるスロー・ブルースは名演だ。
6月には、1991年発表のライブ盤『24 nights』の増補完全版が発売された。1990年〜1991年にロイヤル・アルバートホールで行われた公演を収録したもので、クラプトンのキャリアの中でもハイライトといってよい演奏だ。リアルタイムでも熱心に聴いていたのだが、未発表音源やDVDもついているというレコード会社の戦略に負けて小遣いをはたいて購入した。この完全版は3つの演奏形態『ロック』『ブルース』『オーケストラ』に分けられているが、このうち『ブルース』にはバディ・ガイやロバート・クレイといったコテコテのブルースマンたちが参加してゴキゲンな演奏を聴かせており、これを流しながらこの原稿を作成している。
クラプトンの偉大な業績は、バディ・ガイ*1が語っているように、ブルースという音楽とその魅力を敷居を低くして広く世界のリスナーに伝えてきたことだろう。そしてその演奏が心に響くのは、彼自身、人妻に横恋慕して奪ったあげく破局に至ったり、麻薬やアルコール依存、息子を事故で失うなど苦悩や悲しみをありのまま表現している'ホンモノの'ブルースだからと感じている。70年代にジャニスやジミヘンみたいに事故死してもおかしくなかった彼が、生き延びて薬物・アルコール中毒患者に救いの手を差し伸べている姿勢*2に人としての温かさを感じるし、今井美樹のファンだとか、いきつけのとんかつやがあるとか、なんだかロックスターっぽくないところもいい。今年ライブに参戦できたことはベストな体験の一つだった。
1 バディ・ガイ
クラプトンやストーンズをはじめとして、イギリスのミュージシャンたちがブルースマンたちのキャリアをどれだけ後押ししてくれたか。そして素晴らしいのは、彼らがズカズカっとやってきて、『ブルースは俺たちが始めたんだ』なんて言わないところだ。彼らはいつも真実を語ってくれるんだ。
2 クラプトン
中毒患者の治療施設を始めた理由はシンプルだ。僕のように、かつて薬物やアルコールを飲んでいたものの、もう飲みたくないと思っている人達のためだ。僕のヒーロー達は選択権がなかった。リロイ・カーは酒で死んだ。ビッグ・メイシオも酒で死んだ。僕が救われたような援助があれば、彼等は今も生きていたかもしれない。
ドラゴンズの話
ひいきの野球チームの中日ドラゴンズはこの10年間低迷している。昨年再建をかけて満を持してミスタードラゴンズと呼ばれた立浪監督が就任した。これでダメなら誰が立て直すのか?という背水の陣にも関わらず、1年目はぶっちぎりの最下位に終わった。巻き返しを図った今年も、気持ちとは裏腹に次々と不名誉な記録を打ち立て、5位に浮上する絶好のチャンスもつかみ損ねて最下位に沈んだ。どうしようもない低迷ぶりだが、こんななかでも一筋の光が見えている。3月に行われたWorld Baseball Classicで最年少、若干二十歳ながら決勝戦でも見事なリリーフを魅せた高橋宏斗投手だ。
シーズン開幕後、気がついたら高橋宏斗の当番日を気にするようになり、その勝敗や内容をスマホにメモをしていた。そしてDAZNでほとんどの野球中継を見られることもありここ10年で間違いなくドラゴンズのことを気にかけていた1年だった。6月に名古屋に出張する機会があり、その週末の土曜日、ホームのバンテリンドームで日ハムとの交流戦が組まれていた。高橋宏斗の当番日にあたることを祈りつつ、何十年ぶり(高校生の時以来だろうか)に野球を観に行くことにした。


バンテリンドームは一塁側指定席を選んだ。さすがに5万人収容のドーム球場、昔のナゴヤ球場のイメージは一新され、その広さと華やかさに新鮮な感動があった。残念ながら高橋宏斗の当番日には当たらなかったが、試合は幸先良いスタートで、WBCでも代表に選ばれた日ハムの主戦の伊藤投手から3回ウラ終了までに3点を奪い、久しぶりの野球観戦での勝利が見えたようで浮かれ心になっていた。
だが、ここからが低迷するドラゴンズを象徴するような展開だった。6回に先発投手がランナー2人を背負うピンチを招き、次のバッターはあろうことか昨年までドラゴンズに在籍していたアリエル・マルティネスだった。監督はリリーフを送った。抑えてくれと願ったのもむなしく、アリエルはライト方向に鮮やかに古巣への恩返し逆転弾を放ったのだった・・。

負け癖のついたドラゴンズに反撃する力は残っておらず、あえなく久しぶりの野球観戦での勝利は夢に終わった。
プロスポーツチームには、長い歴史の中では必ず浮沈がある。亡くなった星野仙一さんが指揮した熱血ドラゴンズや、落合監督が築いた8年間でリーグ優勝4回、日本一1回という黄金期も観てきた。良いときばかり応援することはフェアでは無い。来年は立浪カントク最後の契約年になる。このまま史上最低の監督という汚名を被ったまま終わるのか、辰年に奇跡の反撃を見せるのか。どんな結果が待っていても目をそらさず見届けよう。今年、沼底を這いずりまわるありのままのドラゴンズを体感できて良かった。いつの日か再び優勝することがあれば、今年の姿を思い浮かべてあんな時もあったな、と思いたい。そして高橋宏斗という希望の星が現れたことは、とてつもない幸運だ。我が目が節穴でなければ間違いなくメジャーでも活躍できる器だが、その右腕でまずは低迷するチームを浮上させて欲しい。そしてこれからのささやかな夢は、高橋宏斗の登板する試合を生で観戦することだ。
街のサッカーチームのこと
クラブ存続の危機を乗り越え、昨年天皇杯でクラブチームのてっぺんに立った街のサッカーチーム(ヴァンフォーレ甲府)は、アジアのトップクラブが集うACL(アジア・チャンピオンズ・リーグ)の出場権を得て、2部リーグの地方クラブとしては異例ともいえる世界のピッチへ進撃する年となった。現地で観戦して、鮮やかな記憶として残った試合を振り返ってこの歴史的な一年を回想したい。
- 7月12日 第103回天皇杯 VS鹿島 小瀬
3回戦の相手は昨年準決勝で撃破したJリーグの雄、鹿島アントラーズだった。平日の夜だったが昨年の鮮やかな記憶と、再び王者に挑戦できる喜びを胸に同僚とバックスタンドで観戦した。試合はなかなかスタメンに絡めなかった野澤陸の鮮やかなボレーシュートで先制するも、アントラーズが意地を見せて同点に追いつき、延長でも決着がつかずPK戦にもつれ込んだ。このPK戦が記憶に残る激闘だった。2週目のジェトゥリオが決めて11-10で勝利した時には夜の10時を回っていた。感動したのは、二年続けて王者を撃破したこともさることながら、リーグ戦では出番の少ない野澤や、GK渋谷の活躍で勝利をもぎ取ったことだ。ACLで世界と闘うためには、控え選手のモチベーションや試合経験が重要だと思ったし、実際渋谷はこの日のPKストップでサポーターの心をつかんで、後半の活躍にも繋がった。



この試合でもう一つ印象に残ったのはキャプテン・須貝の奮闘だった。途中出場だったが、延長に入っても鋭いインターセプトから試合終了寸前まで勝利を目指して攻撃する姿勢を見せていたし、PK戦では先陣を切ってキッカーを務め、二回のPKをきっちり決めてチームを鼓舞していた。この姿を観て、後半戦への期待が大きくふくらんでいた。だが、すぐにやってきた7月22日のリーグ戦でキャプテン須貝の名前は無かった。アントラーズからのオファーがあり移籍が水面下で動いていたのだった。今思えば、鹿島戦での須貝君の奮闘ぶりはキャプテンとしての闘う姿勢をみせていたのと同時に、オファーを出してくれた鹿島の首脳陣へのアピールもあったのだろう。
昨晩の須貝くんのかっこよさはハンパなかった。キャプテンがあの姿勢で戦ってくれると、チームの士気もあがるよなあ。
— T-Y (@realfinelove) 2023年7月13日
予算の限られたちっぽけな街のサッカーチームでは、条件の良いオファーで選手が移籍していくことは日常茶飯事であり覚悟はできているつもりだったが、地元で育ちJ1昇格に向けて主力としてチームを引っ張る現役キャプテンを力技で引き抜かれてしまう現実にさすがに無情を感じた。2年続けて王者を撃破し、浮かれていたが10倍返しにされたのだった。この移籍で平常でいられるほどチームもタフではなかった。8月には下位チームにも勝てず、悪い方に潮目が変わったのが目に見えてわかった。一緒にACLを戦いたかったし、今考えても残念な移籍ではあったが、限られたフットボール人生、須貝君には茨城県にとどまらず日本代表や世界を目指して挑戦し続けて欲しい。そして世界で活躍した後は、ひょっこり戻ってきてオミのように長く活躍してくれることを願っている。
- 10月4日ACL MD2、国立競技場 VSブリーラム・ユナイテッド





ACL予選リーグは平日の夜に甲府から遠く離れた国立競技場で組まれていた。フツーに仕事をしていれば現地参戦は無理な条件だったが、小さな奇跡が訪れた。今年の8月から月に2回、神奈川県に出張の仕事が入るようになり、その日程が2日間ホーム開催の日だったのだ。神様に感謝しかない。新築された国立競技場は広くて素晴らしい眺めだったし、Jリーグの他サポが日本代表として戦うチームの応援に駆けつけてくれたのは前代未聞の風景だった。平日の夜に集まった10000人を超えるサポーターの期待に応えたチームは歴史的なACL初勝利を挙げた。10番を背負った長谷川選手の決勝ゴールも素晴らしかったが、夏に戻ってきて甲府に三度力を貸してくれているクリスチアーノのアシストも本当に嬉しかった。
今宵ちっぽけな街のサッカーチームは、タイの3冠クラブを撃破しましたー。祝杯だー
— T-Y (@realfinelove) 2023年10月4日
余談ながら、試合開始前に入り口付近で待機していると、NHKのカメラが2人組の女性にインタビューを始める場面に出くわした。カメラの角度的に映像に入ってしまうと判断した僕は、顔バレしないようとっさに後ろを向き続けた。はたして、試合後に#金曜やまなしで放送された「ヴァンフォーレが世界とつながる日」でそのインタビューが放送され、図らずもサブキャストとしてNHKデビューしてしまったことも良い思い出だ。(探さないで下さい。)
- 11月29日ACL MD5 国立競技場 VSメルボルン・シティ




勝てば互いに一位突破を手繰り寄せる大一番、激闘だった。開始5分での失点も、三浦君や井上詩音の活躍ですぐに追いつき、鳥海芳樹ならではのゴールで逆転した。後半開始直後にPK献上や鋭いカウンターであっという間に逆転され敗戦濃厚の空気のなか、またもクリスチアーノのアシストと純真のヘディング(公式戦初めてではないか?)で追いついた。執筆時点でリーグ突破を決めてはいるが、今思えばここで負けていればこの最終結果はなかっただろう。殊勲のクリス、純真の活躍と篠田監督の采配に拍手を送りたい。国立からの帰り、甲府サポーターで埋め尽くされた新宿駅のホームや中央線特急の前代未聞の風景もまた鮮やかな記憶として残るだろう。国立への2試合の参戦は心から楽しく、今年のいや最近10年間のなかでもベストの体験だった。
三浦くんの突破が凄かった。鳥海芳樹ならではの得点だった。純真が決めた。素晴らしい試合だった。
— T-Y (@realfinelove) 2023年11月29日
12月12日、ちっぽけな街のサッカーチームは遠く離れたタイの地でACLアウェイ初勝利を挙げ、二部リーグのチームで初めて決勝トーナメントに進むという歴史的快挙を成し遂げた。この記事をとてもハッピーな気持ちで執筆している。今年1年良いことばかりではなかったし、J1昇格プレーオフにも紙一重でたどりつけなかったが、サポーターにも新鮮な経験を届けてくれ、最後までドキドキさせてくれたチームに感謝している。
2023年のサヨナラ
1月 ジェフ・ベック

昨年のベストで彼の新譜を取り上げたばかりだった、残念だがまた1人ロックスターが伝説となった。2015年に、ヨコハマで開催されたBlue Note Jazz Festivalでこの稀代のギタリストの演奏を生で観ることができた。「なぜJazz Festivalにジェフ・ベックが?」というツッコミは永遠に心に残しておこう。
3月 坂本龍一さん
世間を席巻したYMOの音楽は幼少期無意識に聴いていたし、『ラストエンペラー』でのアカデミー賞受賞の快挙も記憶に残るが、個人的に最も記憶が鮮やかなのは1999年発表の『BTTB』『ウラBTTB』。この頃、映画『鉄道員』のテーマ曲を繰り返し聴いていた。
11月 伊集院 静さん
2020年の1月に脳卒中を発症して、日経新聞で連載していた夏目漱石の物語『ミチクサ先生』が休筆になったが、無事に生還されて物語が完結したのを喜んでいたばかりだった。急な訃報に驚いた。正岡子規を描いた『ノボさん』、サントリーを立ち上げた鳥井信次郎の生き様を描いた『琥珀の夢』も良かった。新しい作品が出ないのはさみしくなるが、個人的に好きな作品『なぎさホテル』『いねむり先生』はいつか時間ができたら読み返したい。
おわりに
今年も生き延びてAdvent calender 2023に参加することができました。僕自身、依頼した原稿をとりまとめる仕事も経験しておりその煩雑さを実感していますが、毎年この素敵なイベントを継続している@taizooさんには今年も敬意を表したいと思います。最後までこの拙い記事に目を通してくれた皆様にも感謝。2024年も皆様にとって幸多き年となりますように。
・この記事は、2023Advent Calendar 2023の第25日目の記事として書かれました。
・前日はShinoさん、次はたぶん来年のAdvent Calender 2024(開催未定)です。
2022年のライブ鑑賞
今年鑑賞したライブを振り返る。(残念ながら一度も生での鑑賞はできず、配信ばかりでした)
4月29日 'International Jazz Day' with Blue Note Tokyo All-Star Jazz Orchestra directed by ERIC MIYASHIRO




最近、4月30日のInternational Jazz Dayでは『Jazz Auditoria Online』として無料でライブ配信している。ちょうどGWだし、今年も鑑賞した。Eric Miyashiroさん率いるこのJazz Orchestraは、毎回有名なミュージシャンとコラボしているのだが(マーカス・ミラー師匠とも)、今年のゲストはピアニストの角野隼斗さんで、このライブで初めてその存在を知った。後半に3曲ぐらい角野さんとの共演が聴けたがこれが素晴らしかった。Pat MethenyのThe First circleやチック・コリアのSpainを演奏していた。
4月30日 黒田卓也 ゲスト 角野隼斗

黒田卓也もこのJazz DayのLive Stageに登場。そして角野隼斗さんも2日続けてゲスト出演。そこで共演したBobby Watsonの『In Case You Missed It』がめちゃめちゃ格好良かった。この日のこの演奏は、2022年に観たライブの中でベスト・パフォーマンスだった。2022年に角野さんを初めて知りましたが、黒田さんともども今後の活躍が楽しみです。




5月7日 Michel Camilo (カミロおじさん)

カミロおじさんを初めて知ったのが2011年、ニューヨークのライブハウスでした。2019年に東京で再会、その人気を実感。今回はソロでしたが定番のOn Fireの盛り上がった演奏が印象に残った。いつまでも元気にダイナミックな演奏を聴かせて欲しい。
5月12日 ゴダイゴ

幼少期から『ビューティフル・ネーム』や西遊記の『モンキー・マジック』を聴いて育った。タケカワユキヒデさんは心のベスト・ヴォーカリストの1人だし、国民的に愛されているバンドだと思う。このライブは、2020年に亡くなったオリジナルメンバーのギタリストの浅野さんの追悼ライブだった。ライブでのMCは、浅野さんへの友情とリスペクトに溢れていて感動的だった。ゴダイゴの歴史に立ち会えたと感じれたし、配信でこのライブが観れて本当に良かった。
7月11日 小野リサ

2007年に『Soul & Bossa』というアルバムをiTunesで購入して良く聴いていた。オーティス・レディングやスティービー・ワンダーの曲をボサノバに料理して歌う小野さんは凄いと思った。このライブ、配信でみたのだがあんまり記憶が無い。
7月30日 Fujiロック Jack White
今年もフジロックをYoutubeで観た。目当てのJack Whiteぐらいしか観れなかったが、多分今年のFuji Rockのハイライトの一つだっただろう。熱心なVF甲府のファンなので、『オークリスチアーノー』と口ずさみながら鑑賞しました。
8月28日 ロンカーター

御年85歳のベーシスト、ロン・カーターさんの演奏を観た。歴史を目撃した。
9月28日 リーリトナー&デイブグルーシン

リー・リトナーは、1990年代にフュージョングループ・フォープレイを聴いて知り、アルバムも何枚か持っている。デイブ・グルーシンさんは映画音楽を代表するピアニストだが詳しくは知らなかった。御年88歳だが、元気に演奏していた。昔映画でみた『グーニーズ』のサウンドトラックはグルーシンさんが制作しており、今更ながら無意識に彼の音楽を聴いていたことがわかったのでした。
11月19日 キャンディ・ダルファー

前回観たときはコロナ前で生で鑑賞しました。前回共演予定だった親父ダルファーが病気のため来日出来なかったが、今回は登場。
親子揃ってファンキーな演奏でした。凄い親子だと思いました。
配信のライブのおかげで、今年は角野隼斗さんを知ったし、ロン・カーターやデイブ・グルーシンさんというレジェンドのライブを鑑賞することができた。コロナ感染の拡大がなければこの配信ライブの文化は生まれなかったのかも知れない。ただ、やはり音楽はミュージシャンの息づかいや表情、会場の盛り上がりを五感で感じないと鮮やかな記憶として残らないと改めて感じている。スポーツと共通するところがあります。世の中が落ち着いたら、また会場にライブを観に行きたいと思う2022年の大晦日でした。
2023年にも、音楽での素敵な出会いがありますように。

